2020年12月29日のゴッドタン「第18回 芸人マジ歌選手権」に阿佐ヶ谷姉妹がマジ歌シンガーとして登場。
これまでは、東京03角田さん率いる角田バンドメンバーである大竹涼太マネージャー*1のサポート的な立ち位置での出演*2や、他事務所のアイドル*3と組んだユニットでの出場はありましたが、阿佐ヶ谷姉妹の二人が主役としての出場は初めてになります。「絶好調だった」と誰もが口をそろえて評価する阿佐ヶ谷姉妹の2020年を締めくくるにふさわしい、最高にアツいパフォーマンスの感想を書き留めておきたいと思います。
ヒッピー?風の衣装で登場
ちょっと前のSuperflyを思わせるヒッピー風の衣装に身を包み登場した阿佐ヶ谷姉妹。MC陣も「誰かと思った!」と口にしていましたが、正直意表をつかれました。パンツスタイルはエリコさんのスラリとした脚の長さが際立って、カッコよく見えます。
でも、ロングのウィッグは、元のおかっぱを隠さない、少し不自然な感じでつけているし、メイクもいつも以上に控えめな印象。派手目の衣装ではありますが、いつものおとなしそうな阿佐ヶ谷姉妹の雰囲気をどこか保ったままです。そして、いつも通りに、ちょっぴり遠慮がちに「どうもどうも~。すみません、おじゃまいたします〜。」という感じで、やたら会釈をしながら立ち位置へつきます。
ピンクドレスを脱いで他の衣装を身に着けてコントをする時には、役になりきっているお二人ですが、今回は、あくまで「阿佐ヶ谷姉妹」としてパフォーマンスをするようです。
エリコ絶好調!
衣装について「似合ってカッコいいですよ」とMC陣から振られたエリコさん、身に着けたオレンジ色のシャツを指さし、穏やかに微笑みながら「ビタミンカラーを取り入れてみました〜」とひとこと。
そして「やかましいわ!」というツッコミを待たずに、みちょぱさんを、優しげながらもしっかりとした目線でがっちりロックオンし「ビタミンカラーで合ってますか?みちょぱさん?これビタミンカラーじゃない?」と声をかけます。みちょぱさんが真顔で「普通にオレンジ…」と返してきたのは、想定通りだったのでしょうか?エリコさんは「ビタミン不足ですみません〜」とまた穏やかな笑顔で返しました。これが噂の剛腕?*4
スタジオの皆さんも大笑い。「おばさん絶好調!」の声も飛びます。
こういう職人的なところ、ほんと大好き!です。
阿佐ヶ谷姉妹らしい「のほほん」トーク
次に、2020年絶好調だったけど、阿佐ヶ谷からは引っ越さないの?というMC陣からの振りで、阿佐ヶ谷の良いところを話す流れに。
するとみほさん、「高円寺だとちょっとロックな感じで、荻窪になるとファミリーな感じになって。ちょうど阿佐ヶ谷っていうのは中央線の谷みたいな街で」と、褒めているんだか、けなしているんだか、よく分からない説明を始めて、スタジオをザワつかさせます。ファンとしては、みほさんがみほさんすぎて、爆笑してしまうやつです。
また、阿佐ヶ谷のオススメスポットということで、自分たちの住む阿佐ヶ谷駅の北側で何でも買い揃える、という話も、みほさんは「北側で全部買ってるんですけど、すみません、根がお嬢さんなもので、コートだけルミネで買ってます」と言い出して、またもやスタジオをザワザワさせます。ファンとしては「みほ様キターー!」と大喜びしてしまうやつです。
そして、こんな風に「すみませんすみません」と口では言いつつ、揺らぐことなく地元トークをのほほんと繰り広げる阿佐ヶ谷姉妹に対して、「知らねーよ!」「何の時間?これ?」と東京03の飯塚さんがツッコんでくれるのを見ていたら、なんだか嬉しくなってしまいました。
バナナマンや東京03のライブを見に行って、オシャレコントに憧れていた時代もあった*5という阿佐ヶ谷姉妹が、今、同じ舞台で、その人たちと堂々と渡り合っている。テレビやラジオのレギュラーのお仕事で、喋り続けてきた一年の積み重ねって、やっぱりすごいんだろうなぁと思うと、外野の私でも、なんだか胸が熱くなってしまうのです。
いよいよ楽曲披露
トークが終わり、いよいよステージでの楽曲披露です。
「私たちが一番大切に思っているものを歌にしてきた」ということで、タイトルは「頑張れ北口商店街」
なるほど、ここまでの、ちょっと謎な「のほほん」トークは、この曲を歌うためのものだったのですね(笑)
エリコさんがボーカル、みほさんはピアノとコーラス、そして「もう一人の阿佐ヶ谷姉妹」ことマネージャーの涼太さんがギターとコーラスで参加します。
以前、角田バンドのパフォーマンスの一環で、この3人が、所属事務所名の「ASH&D 」に因んだ「灰とダイヤモンド」というユニット名で少しだけパフォーマンスをしたことがありましたが、本当の本当に、ASH&Dの「僕の船」*6が、マジ歌という大舞台へ出航する時が来たんだなぁと、歌う前からちょっと泣きそうになりました。まだ何も始まってないのに、感動しすぎ。。
圧巻の歌唱力そして笑い
ロックなギターの音にのせて聞こえて来た第一声「カモン!!」ものすごい声量をスタジオに響かせる阿佐ヶ谷姉妹の二人。
あんなに控えめでおとなしそうだった二人のパワフルな歌声に、ざわめきが起こります。そして、特にエリコさん、振り付けというより歌に合わせて自然に身体が動いてる感じが、全身で音楽を奏でているようで、ものすごくカッコいいのです。惚れ直しました。。
でも、歌っているのは、さっきの「のほほん」トークでお話していたのとほとんど同じような内容なんですよね。これがなんとも可笑しい。
「街のことはなんでも聞きな、ウチらのボス、カナモノワタナベ」
「勝負服でもコント衣装も、おしゃれ番長、ブティックマリヤさん」
さらに、ここに、みほさんの台詞パートが次々と乗っかってきます。
「安いのよね~」
おばさん全開な言い方がものすごく面白くて、みほさんが台詞を叫ぶたびに、爆笑してしまいました。
既に「勝ったな」と思わせる、圧巻のパフォーマンスですが、曲はまだまだ終わらず2番に続きます。
2番の歌詞には、ファンにはお馴染みのお店の情報が盛り込まれ、ファンとしてはちょっとクスッと笑ってしまうディープな内容。おそらく、審査員の皆さんも「阿佐ヶ谷ローカルすぎる謎情報だらけでよく分からないけどなんだか可笑しい」という感じで笑っています。
そして、エリコさんの歌いっぷりは、ますますノリノリになってきて、あまりの上手さに笑いが込み上げてきます。メイクや髪型をキメすぎず、阿佐ヶ谷姉妹のおとなしそうな雰囲気を残したことで、パワフルな歌声やロックな曲調とのギャップが生まれ、面白さを加速させていた面もあるかもしれません。
エリコさんって歌うと人格が変わったみたいになるのが本当に面白いんですよね。まるで、こち亀の本田がバイクに乗ると凶暴な性格になるように、エリコさんもマイクを持って歌い出すと、ロックシンガーに豹変してパワフルでノリノリのパフォーマンスを始める。そして、歌い終わると、憑き物が落ちたように、またおとなしそうで上品なおばさんに戻るんです。これ、何度見ても、面白くて大好きだなぁと思います。
2番のシメは「笑い生み出す奇跡の街」として阿佐ヶ谷在住の芸人さんを「阿佐ヶ谷ファイター」と紹介。この面子が個性派ぞろい。特に「岡野陽一、あぁ~しらき」のあたりの歌詞とメロディーのフィット加減、エリコさんの動き、全てがあいまって、ものすごく面白かったです。
終わらないパフォーマンス
高らかに「北口商店街~!」と歌い上げ、大勝利!な感じで終わるのかと思ったら、静かなピアノ伴奏が始まって「え???」となりました。
「皆さん、少しだけ聞いてください」
エリコさんが、静かに語り始めたのは、全国の商店街が置かれた苦しい状況について。
ゴールデンラジオの「ゴールデンヒストリー」*7を思わせる心に沁み入るような語り。内容は一つのボケもなく真面目なものです。
エリコさんの上手すぎる語りに聞き入りながら、背後のモニターに映し出される商店街の人たちの笑顔が素敵だなぁ、商店街守らないとなぁ、なんて自然と思わされました。
しかし、ピアノを感情を込めるように弾くみほさんや、ギターを抱えて直立不動の涼太さんの真顔がカメラで抜かれたのを見たら、なぜか、この状況がジワジワと可笑しくなってきました。
特に涼太さんの真顔には吹き出してしまいました。
何にも面白いことをしてないのに、真面目に上手にやっているのに、なんだか笑えてきてしまう。
これぞ、マジ歌ですね!
想定外の笑いの爆弾!
エリコさんが「私にはその(商店街の皆さんの)笑い声がこう聞こえるんです・・・」と静かに語ったところで、急にまた、ロックなギター音が鳴り響きました。
視聴者の私は二度目の「え???」
ピアノを静かに弾いていたはずのみほさんが、メガホンを持っている!
そして大絶叫「商店街ナメんじゃねーぞ!!!」
エリコさんのパワフルな歌声とみほさんの大絶叫が重なりあいながら、楽曲はクライマックスへ向かいます。
こんな展開、予想できなかった!すごい!すごい!
メガホンもって、ふよふよふよふよと身体を揺らしながら大絶叫するみほさんが面白くてたまらない。メガホン持って叫んでるのが、こんなに面白い人って他にいる?
パワフルに楽曲を完奏し、息を切らしながら、背中あわせにポーズを決めた阿佐ヶ谷姉妹の二人は、まるで、女戦士のようでした。
世界一、カッコよくて面白いおばさんだよー!!
阿佐ヶ谷姉妹、最高!!
阿佐ヶ谷姉妹全部入り!
すばらしいパフォーマンスに、大満足していたところで、MCの矢作さんが、こんな話を紹介されました。
「スタッフがロケハンに行ったら、商店街の方々は阿佐ヶ谷姉妹のためならなんでもやります!と全面協力!」
「スタッフが写真撮って、出てくれませんか?と聞いても誰も断らない!」
阿佐ヶ谷姉妹って、地域の人たちから、本当に愛されているんですね。すごい!
それを聞いたエリコさん、感動して泣き出します。
安定の、泣きエリコ!(笑)
感激屋のエリコさんってほんと可愛いんですよね。ひょっとして、ゴッドタンのスタッフさんも、同じことを思っているのかしら。。
これだけ、カッコ良いところも、面白いところも堪能させてもらったのに、最後に、可愛いところまで見せてもらって。。阿佐ヶ谷姉妹の良いとこ全部入りのマジ歌パフォーマンスだったなぁと、最後の最後まで、感動させられました。
素晴らしい歌唱力!おもしろ歌詞に台詞に演出!阿佐ヶ谷の街への強い愛と阿佐ヶ谷の街から愛される姉妹の尊さ!本当に良いものを見せていただきました。素晴らしかった!
今度こそ、DVDに収録されますように!!
いつか近い未来に・・・
エリコさんが敬愛されている伊東四朗さんのように、阿佐ヶ谷姉妹(3人目を含む)がコミックソングを発表し、国民的ヒットを飛ばす。そして紅白歌合戦出場・・・と、勝手に妄想したりするんですが、この人たちなら、それが、本当にできちゃうかもしれないよ?!って、今回のマジ歌を見て感じました。
勝手なこと言って、すみません。
でも、たくさんのワクワクをありがとう、阿佐ヶ谷姉妹!と言わせてください。
そして、2021年も全力で応援させてください!
*1:涼太さんがお友達と一緒にYouTubeで配信されているネットラジオで、今回のマジ歌の舞台裏について聞けます。無茶苦茶面白いので、ぜひ聞いてみてください。
*2:サポートとは言えドラムやピアノの生演奏をこなし、見ている者の度肝を抜いたりと記憶に残る活躍ぶりを見せていました。マジ歌武道館の舞台にも立ったのはすごい。
*3:元℃-uteの岡井千聖さんと3人で歌いました。岡井さんが理想の彼氏について歌うと、それに対して黒ドレスに身を包んだ阿佐ヶ谷姉妹が彼氏のヤンキーぶりをいじり倒すような歌や台詞で茶々を入れていくという内容。そんなヤンキーとつきあって大丈夫なの?という親心が暴走して「絶対に幸せになれない」という呪いを娘に浴びせかけるというちょっとしたホラーな展開にも見えて、おふざけと母娘関係のややこしさを重層的に表現したマジ歌だったようにと思います。非常に面白かったのにDVDには収録されなかったのが残念。
*4:若林「阿佐ヶ谷姉妹ってすごいよね。お見事にそれ(年齢)をフリに使ってるというか。たぶんあんまり言っちゃいけないんだけど江里子さんの剛腕っぷりってすごいよな」
春日「あーそうだねー」
若林「あんま言っちゃいけないけどね、ほんとの剛腕だから江里子さんて」
春日「うんうんうん」
若林「これ笑いどころ作りにくいよ?っていうロケ行ってさ、地元の人とみほさんとさ、なんか自分で流れ作って、自分で作った流れなのに、みほさんに違うわよってツッコんで回収して次の現場行くじゃん。全部、江里子さんの剛腕でロケ成り立ってて、あれは半端じゃないよ?」
春日「そうだね」
若林「センスも若いし。阿佐ヶ谷姉妹のプロデュース能力。タレントって絶対若づくりするじゃん普通は。逆に武器として使ってんじゃん。だってコンビでお互いにプレゼントあげましたかという話でも絶妙な年齢のもの出してくるじゃん。」
(2020年11月22日 オードリーのオールナイトニッポン)
*5:大阪公演直前、阿佐ヶ谷姉妹&変ホ長調の公民館稽古に潜入 - お笑いナタリー
*6:[「マジ歌ライブin武道館」見どころは澤部不在のハライチ、ラスト松丸アナ、ララランド風ひとり | WEBザテレビジョン
*7:文化放送「大竹まことのゴールデンラジオ」の1コーナー。「日々、黄金の歴史有り」をコンセプトに、過去の史実や市井の人々の体験談を、大竹まことさんのナレーションで紹介。月曜日はエンディングでパートナーであるエリコさんが補足的な情報を読み上げてから、テーマに因んだ楽曲がオンエアされます。本編の大竹まことさんの語りも沁みるのですが、月曜日はエンディングも楽しみに聴いてます。