『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』は、Webサイト「幻冬社Plus」の連載に加筆・修正の上、2018年7月に出版されたエッセイ本です。*1
阿佐ヶ谷姉妹のお二人が、六畳一間での同居生活のあれこれをリレー形式で綴った内容が「地味おもしろい」と話題となり、2018年には、たくさんのインタビュー記事が書かれました。今もWeb上で無料で読める記事で、私が見つけられたものだけでも10本あります。
私は、4か月前に阿佐ヶ谷姉妹を好きになった頃に、これらの記事を後追いで読み、お二人のことが、ますます好きになりました。そんな後追いファン活動の思い出をメモしておきたいと思います。
ちょっと量が多いので、まずは「前編」として、2018年7月から8月に公開された5つの記事の感想をアップします。
後編はこちら。
asagayashimai-fan.hatenablog.com
- 1.2018/07/18 Wezzy 掲載
- 2.2018/07/20 日刊サイゾー掲載
- 3.2018/08/05 HUFFPOST 掲載
- 4.2018/08/11 WHAT's IN? tokyo 掲載
- 5.2018/08/31 anan NEWS 掲載
1.2018/07/18 Wezzy 掲載
発売後、まもない頃のインタビュー記事です。エッセイの内容をベースに、お二人の関係性やお人柄をより深く知ることができて、非常に面白かったです。
特に、面白かったのは、同居前、エリコさんの家に週5で泊まっていたミホさんが、エリコさんにパンツまで借りていたという話。
美穂 借りてたわね。今は借りないけど。そのときは良かったけど、今は嫌ですね。
江里子 やめてよ、なんでよ。私が言うならいいけど。美穂 なんで平気だったのかしら。
このやりとり、ミホさんらしさが炸裂していて大好きです。
40代の女性同士が六畳一間に6年も同居しているという、ちょっと変わったライフスタイルについて、全く気負いがないことに驚いたのも、この記事でした。
「二人で住んでるから結婚出来ないんだ」と言われて、腹が立たないこともないが、確固たる意志でこの生き方をしているわけでなく、流されてこうなっているだけなので、あまり強いことも言えないし、特に言い返すこともないと。
江里子 (略)結果自分たちはこうなっていて、わりとこの関係が楽しいんです。
美穂 のんきだし、気楽に生きてるかもしれませんね。
江里子 この気楽さを声高に言ってもねぇ。
この肩から力の抜けた感じ、とても美しいなと感じました。
そのあとに語られる、コンビ仲や加齢についての考え方についても同様です。決して押しつけがましくはないけれども、自分たちが何が好きで、何を心地よいと思うかをよく知っている人たちだな、という印象を受けました。だから、他人を必要以上に攻撃することもないし、自分を卑下しすぎることもないのかなぁ…と。
この強さや美しさは、今も、阿佐ヶ谷姉妹のお二人の言葉や振る舞いに常に感じるところで、私にとっての憧れとなっています。
2.2018/07/20 日刊サイゾー掲載
1と同じサイゾー社の記事ですが、インタビュアーの方が異なります。「発売記念インタビュー」とタイトルに書かれていますが、記念だけあって、非常にボリューミーで読み応えがあります。永遠に聞いていたくなるようなやりとりがいっぱいで、大好きな記事です。
リレー形式のエッセイを書くことで、お互いの思っていることを知ったり、自分自身に気づかされたという話から、お風呂の順番やお手洗い、エリコさんのいびきを巡る姉妹の小競り合いの詳細についても語られ、まるで、エッセイのメイキングのようです。また、同居を解消して、お隣暮らしになった直後の様子がわかるお話は、本編に追加されたボーナストラックのようでもあります。このインタビューを読むことで、本を、さらに面白く読むことができると思います。
また、この記事は、お二人の関係性についても、一歩踏み込んだ内容が語られていると感じました。エリコさんがちょっと無理をすれば、「かっこつけだな」と指摘するミホさんがいてくれるから、エリコさんは、バランスを崩さないで済むのかもしれないと。これは憶測ですが、そんなことを感じました。エッセイのカレーの話もそうなんですが、エリコさんのことを「好きでも嫌いでもない。普通。」と言い切るクールなミホさんだからこそ、エリコさんのピンチを誰よりも早く正確に察することができるし、さりげなく手をさしのべられるのかもしれません。「お姉さん、リラックスして」と。
そして、最近、阿佐ヶ谷姉妹の人柄の良さがニュース記事になり、特にエリコさんの「聖人」ぶりが話題となっていますが、そんなエリコさんの不機嫌エピソードが読めるのも、この記事の貴重なところです。ミホさんが、エリコさんのちょっとダメなところを語るとき、その人間らしさに、私は、逆にホッとさせられます。また、ミホさんの飄々とした語りのおかげもあるのでしょうか、ちょっとダメなエリコさんは、なんとも言えずかわいらしく、ちょっと面白くて、愛おしく感じます。
3.2018/08/05 HUFFPOST 掲載
1.2のインタビューで既出の話も多いですが、ふたり暮らしについての家族の反応や、結婚願望についての問いがあったり、エッセイで語られた「阿佐ヶ谷ハイム構想」についても、つっこんだ質問がされており、阿佐ヶ谷姉妹の関係に、家族の本質を見い出していくような構成となっています。
おもしろエピソードは少なめな記事ですが、阿佐ヶ谷姉妹のエッセイから、「自分の当たり前は、他の人の当たり前ではない。」「誰かと一緒に生きるということは、前向きな妥協の繰り返し」ということを教えられる面は確かにあり、自分の身近な人との関係について、改めて考えさせられる記事だと思います。
4.2018/08/11 WHAT's IN? tokyo 掲載
株式会社ソニーミュージックエンタテイメント社のWebマガジン。姉妹のおしゃべりをきれいにまとめすぎていない感じがして、好きな記事です。姉妹のポップなやりとりが存分に楽しめます。
「新宿でも怖くて、すぐ帰ってくる」という行動範囲の狭さなど、芸能人らしからぬ生態が語られたり、ミホさんの謎の表現「ベロベロ食べる」が掘り下げられたり。新しい生活についても「何にも出てこないじゃないの~」とツッコミたくなるようなインタビューに、ああ、これを永遠に見ていたいと思わされます。
ちなみに、この記事を読んでも、結局「ベロベロ食べる」とは何なのか分からなかったのですが、二人のやりとりがネタかと思うほど面白いです。「ベロベロのパイオニア」という面白ワードも飛び出し、エリコさん絶好調。そして、今後、テレビで食レポする時には「なるべくベロベロ寄せで」と、最後、まとめるエリコさんにも、笑ってしまいました。やさしくて、おもしろかわいい。
5.2018/08/31 anan NEWS 掲載
「どこにいても違和感があるんですよ、私たち」という言葉には、この記事で初めて触れました。また、少しですが、自分たちの芸風について語られているあたりも、非常に興味深く読みました。
なぜ、阿佐ヶ谷姉妹が面白いのか。あーでもない、こーでもないと、一人勝手な考えをめぐらせるのは楽しいことですが、この記事で語られている「違和感」や「足さない笑い」というキーワードを時々思い出して、なるほどな、と納得することがあったりもします。その納得が正解なのかどうかはわかりませんが。
ミホさんのお笑いトリオ(らくだかばん)時代のエピソードや、1回だけのつもりで出演した初めてのお笑いライブの話など、コンビを組むまでの経緯が語られているのも面白かったです。
*1:2020年2月には、文庫版が発売。「続々重版!!」と幻冬舎のご担当の方もつぶやいてらしたりして、売れ行きは好調のようです。