『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』は、Webサイト「幻冬社Plus」の連載に加筆・修正の上、2018年7月に出版されたエッセイ本です。*1
阿佐ヶ谷姉妹のお二人が、六畳一間での同居生活のあれこれをリレー形式で綴った内容が「地味おもしろい」と話題となり、2018年には、たくさんのインタビュー記事が書かれました。今もWeb上で無料で読める記事で、私が見つけられたものだけでも10本あります。
私は、4か月前に阿佐ヶ谷姉妹を好きになった頃に、これらの記事を後追いで読み、お二人のことが、ますます好きになりました。そんな後追いファン活動の思い出を、メモしておきたいと思います。
一つ前の投稿では、発売直後に公開された5つの記事についての感想を「前編」としてまとめましたが、この記事では、10月から11月に公開された記事5本についての感想を「後編」としてまとめます。
前編はこちら。
asagayashimai-fan.hatenablog.com
- 6.2018/10/02 AERAdot.掲載
- 7.2018/10/11 mi-mollet 掲載
- 8.2018/10/12 讀賣新聞 掲載
- 9.2018/10/24 マイナビニュース 掲載
- 10. 2018/10/29 ウートピ 掲載
6.2018/10/02 AERAdot.掲載
短めのインタビュー記事ですが、阿佐ヶ谷姉妹が、ネタを書く時も、紙やパソコンでなく、携帯電話(スマホ?)に打っている、という新たなプチ情報が得られました。エリコさんもミホさんも、イマドキ!(笑)
姉・エリコさん:真っ白いノートに向かうと緊張してしまうので、ネタを書くときもそうですが、携帯電話に打っているんです。
妹・みほさん:携帯電話は、寝転がりながらでも、リラックスして書けるのがいいんですよね。
原稿用紙でもワープロでも白紙に向かうと、書き始めは、なかなか手が動かないのに、スマホだと気楽に文章を打てる気がするのは、私も心当たりのあるところで、「緊張する」というのは、なんとなく共感します。
また、ミホさんが、寝転がってリラックスしながら書いている姿を想像しながら、エッセイやブログを読み返してみるのも楽しいです。ミホさんの、軽やかな文体の秘密は、この独特の執筆スタイルにあるのかもしれませんね。そういえば、ミホさん、歯磨きも寝ながらしてましたw
7.2018/10/11 mi-mollet 掲載
阿佐ヶ谷姉妹の生き方に「百年時代を生き抜く新しい暮らしのカタチ」を見る、ということで、結婚だけでなく、友達との同居やご近所さんとの関係づくりも老後の生き方の選択肢の一つとして考えてみると気が楽になるよね、とまとめている記事です。
インタビュー自体は、既出のエピソードがほとんどですが、ライターさんによって、まとめ方が違うので、姉妹のやりとりの拾い方も色々です。なので、どの記事も面白く読めます。
この記事では、以下のやりとりが好きです。
(ふたり暮らしの良かった点を聞かれて)
美穂さん 良かった点……。うーん。お姉さん、お先にどうぞ。
江里子さん え? ないの? んもう……。
( ´-` ).。oO(んもう…と言いながら許しちゃうエリコさん、かわいい。。。
(ふたり暮らしの大変だった点を聞かれて)
江里子さん 美穂さん、どうぞ。こっちはスラスラ出てくるんじゃなくて?
美穂さん そうですねえ、夏になるとエアコンの温度設定が…
( ´-` ).。oO(ミホさんw スラスラ出てくるし…!(笑)
それから、エリコさんが「洗濯物をたたむのが大嫌い」という、ちょっぴりズボラエピソードが語られていますが、私も同じなので、すごく共感してしまいました。そして、姉妹の同居時代には、エリコさんの洗濯物も、ミホさんが畳んであげてたのかなーと思うと、なんだかんだ言って、ミホさん、やさしいんだなぁと思って、勝手にうれしい気持ちになったりしました。
やや妄想多めですが。
8.2018/10/12 讀賣新聞 掲載
読売新聞の独身・ひとり暮らしのページ「シングルスタイル」に掲載されたインタビュー記事です。この「シングルスタイル」の記事の多くは、読者会員限定記事なのですが、阿佐ヶ谷姉妹の記事はオープンになっていて、ありがたいです。
「赤い傘」の話は、このインタビューで初めて知りました。お互い恋人ができたら玄関に「赤い傘」をかけておこうと言っていたけれども、結局、一度も使うことなく傘が壊れてしまった、という話。クスッと笑える、かわいらしいエピソードです。
「モテない」という自虐ネタも、ユーモアたっぷりに語ってくれるから、素直に笑えるし、逆に、その明るさや、いじけてないところに、憧れすら感じてしまいます。
美穂 この前、手相を見てもらったら、「30代で恋は終わった」と言われ、「ええっ!」ってなりました。いなきゃいないで気楽だけど、このまま終わるのも寂しい。とはいえ、焦って探すこともしていない。
江里子 あきらめも達観もないわね。手相は変わるというし、毎日ペンで手に線を引いた方がいいわよ。
このやりとり、大好きです。
結婚についても、これまで公開された他のインタビューよりも、ちょっと踏み込んで答えている印象を受けました。
「コンビとしてのデビューが遅く、まず仕事で頑張らなくてはと、結婚の優先順位を落とした部分はあった」というエリコさん。確かに、これだけ人柄もよく、ステキな笑顔の方ですから、その気になれば、すぐにお相手は見つかったはずです。でも、ミホさんみたいな相方が、いつも隣にいてくれる人生って、とっても素敵だし、うらやましくもあります。
どのインタビューでも、お二人が、過去や今の自分を、肯定も否定もせず「恋人がいなくてさみしいという気持ちもあるけれど、今のこの生活も気楽だし楽しい。」とふんわりと語っているのが、とても好きです。
幸せって、他の誰かが決めた「ゴール」を達成したり、他の人が認めてくれる「立場」や「肩書き」を獲得しなくても手に入るものなんだ、と気づかされます。
9.2018/10/24 マイナビニュース 掲載
阿佐ヶ谷姉妹の同年代ファンとして、共感するポイントがたくさんありました。
SNS上でも「2人の生活がかわいい」「和みすぎる」「好きになっちゃう」「人類が最終的に到達する幸せの形」ともっぱらの評判だ。
このような評判をふまえ、姉妹の「地味面白さ」がいったいどこから出てきたのか?という観点からインタビューが進められています。二人のやりとりの面白さや素敵な関係性がよく分かる、大好きな記事です。
インタビュアーの方の質問が割と長めで、ご自身が阿佐ヶ谷姉妹について思うことや感じたことを、かなり盛り込まれている印象ですが、どれも、ファンとして、非常に共感できる内容で、嫌な感じは全くありません。寧ろ、この、ちょっと長めな質問があったからこそ、阿佐ヶ谷姉妹が取り組む「おばさん」の表現について、ちょっと深い話を聞けたのかな?という印象も受けました。
放っておくと、意図してか天然なのか、すぐに、おとぼけおもしろ会話を展開してしまう阿佐ヶ谷姉妹も大好きですが、真面目な話にも、かなりグッときちゃいます。特に、このインタビューで阿佐ヶ谷姉妹が示した「おばさんの多様性」という視点には、生き方のヒントをもらったような気持ちになりました。
江里子:やっぱり“おばさん”ひとつとっても、昔で言うならば「オバタリアン」のような、怖いおばちゃん、がめついおばちゃんとか、そういうステレオタイプなおばさん像が多かった中で、そうじゃないおばさん像があるということを、自分たちもちょっとやっていけたらと思いますね。
ちょっと自分語りになりますが、こういう、ステレオタイプのおばさん像というのが、やっぱり、私の中にもあって、どうしても、これが自分にあてはまると思えなかったんですよね。だから、年齢的には、自分が十分「おばさん」という自覚はあったんですが、いつまでも「おばさん」という言葉が受け入れられなかったのです。
また、職場でも、リーダーになる人のように弁が立つわけでもなければ、みんなに頼られる肝っ玉母さん的なキャラクターでもない。いつまでも頼りないまま、ただ年齢だけを重ねてしまった。こんなモヤモヤを抱えながら仕事をしていたのですが、「そうねぇ、まぁおばさんよね」という阿佐ヶ谷姉妹の言葉に出会って、自分の立ち位置が定まったような気がしたんですよね。
自分みたいな「おばさん」がいてもいい。
そう思ったら、なんだか、気持ちがフッと軽くなりました。苦手だった「大人の会話」にも抵抗がなくなりましたし、若い子との接し方にも迷いがなくなりました。無意識のうちに「中年女性はこうあらねばならない」という思いこみで、自分自身を縛り付けていたのかもしれません。
これからも、同年代の阿佐ヶ谷姉妹が「いろんなおばさん」を、かわいく、面白く、そして、時にクレイジーに表現している姿をみることで、私自身も、元気に前向きに、生きられそうな気がしています。
阿佐ヶ谷姉妹に出会えて、本当に良かった!
それから、もう一つ、こちらの記事で良いな、と思ったのは、阿佐ヶ谷姉妹の自然なやりとりもしっかり拾いつつ、本筋となる話を無理なくきれいにまとめられている点。中でも、一番面白かったのが、ミホさんが、20代で1回パーマをかけた件についての姉妹のやりとり。引用するには長いので、是非記事を読んで、会話のグルーブ感(?)を楽しんでください。
このパーマのくだり、ちょっと脱線気味の内容のようにも見えますが、このやりとりも含めて、ミホさんが「トガリおばさん」を脱し、加齢に逆らわない生き方にたどりついた、という一つのストーリーになっています。阿佐ヶ谷姉妹の良さがパーフェクトに出ている感じで、とっても好ましいです。
ちなみに、こちらのインタビューをまとめられた西森路代さんは、文庫版「のほほんふたり暮らし」で追加された「その後の姉妹」特別対談の構成を担当されたライターさんです。こちらも、阿佐ヶ谷姉妹の日常の会話の雰囲気をしっかり伝えてくれるものになっていて、あまりに面白かったので、読み終わるのが悲しくなるほどでした。こんな対談をもっと読みたい!です。
10. 2018/10/29 ウートピ 掲載
私が見つけられた中では、一番最後に公開されたインタビュー記事です。発売から3ヶ月経ち、4刷も増刷が続くという「結果」が見えてきた頃に行われたインタビューとのこと。既出の内容も多いですが、出版当初に公開されたインタビュー記事と比較すると、ずいぶん落ち着いた印象を受けます。見出しに「安心しておばさんになってください」という言葉が選ばれているのが印象的。すごく強いメッセージです。
阿佐ヶ谷姉妹自身は、決してひけらかすことはないので、はっきりとは分かりませんが、本が売れて、自信が生まれたのかもしれません。今までと全く変わらずに、押し付けがましいところはないけれど、なんとなく、言葉に力強さを感じたりもします。
若い女性が「阿佐ヶ谷姉妹を見ていると、年をとることが楽しみになってくる」ってツイートしているのを見かけるたびに、この記事のことを思い出します。*2
「こんなおばさんは何の参考にもならないですけれど」と控えめながら、自分たちが何が楽しいのか、何が心地よいのか、ということをよく知っていて、価値観がブレない。だから、声高に叫ばなくても、伝わるし、人の心を動かせるのかな、と。
それから、このインタビュー記事、写真が全部、すごくかわいいです。光の感じがやわらかくて、やさしい印象。姉妹のやりとりも、他のインタビュー記事と同じく、かわいいところがいっぱいです。特にかわいいなと思ったのが「幸せだなあ」と感じる瞬間についてのやりとり。
美穂:……そうだなあ。早朝に起きなきゃいけないときに布団の感触を再認識して、足でズリズリしたりとか、布団をスリスリしているときに「布団っていいな」「ありがたいな」と思って、幸せですね。
江里子:美穂さん、寝るのが大好きだものね。それが幸せ?
美穂:幸せ、幸せ。布団が好き。ズリズリして。
これを読んでるだけで、私も、とっても幸せな気持ちになりました。
*1:2020年2月には、文庫版が発売。「続々重版!!」と幻冬舎のご担当の方もつぶやいてらしたりして、売れ行きは好調のようです。
*2:こんな風に、若い女性に思わせた功績って、とても大きいですよね。未来のビジョンが描けると「今」もちょっと変わってくるはずだから。