ほめパラ!

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【書き殴り】ゴッドタン第8回私の落とし方発表会 阿佐ヶ谷姉妹江里子さんの新作がすごかった!!

テレビ東京「ゴッドタン」で令和2年12月12日深夜に放送された「第8回私の落とし方発表会」*1での、江里子先生の新作「あの日の夏祭り」が、すごかったのです!

見た直後に、ホカホカの感想をTwitterに書き込んでいたのですが、どうしてもネタバレになってしまうので、一旦、覚書として、ここに書き殴っておきたいと思います。書いておかないと忘れてしまうので。

ネタバレをガッツリ含みますので、ご注意ください。

初見の衝撃はネタバレしちゃうと、なくなっちゃうので!

この記事アップした時にはTVerの見逃し配信ご案内してたのですが、配信期間終わってしまったので。まだの方はどこかで見られますように。

 

ここからネタバレです。

↓ 

 

初見の衝撃

最初は「どういうこと?」と思いました。

今回のお相手は学ランを着た不良っぽい男の子「タケシ」。彼が、屋上のような場所で一人花火を見ています。そこへやってきた浴衣姿の主人公「江里子」。

「え?息子?!」と思いながら見ていますと、どうやら、今回の江里子は「17歳」の設定のようなのです!

正直、「さすがにエリコさん…それは無理があるよ?!」と思いました。

十代の頃の写真を「昨日の写真?」と先輩芸人にいじられるのが常のエリコさんだから「老け顔の高校生」という設定なのだろうか??

そんな視聴者の戸惑いはよそに、17歳の演技を一切の迷いなく続けるエリコさん。

演技はうまいんです。でも、やっぱり48歳ですから無理がある。矢作さんも「一生懸命、若い子の演技してるんだね〜」とコメントされてましたが、どうしても頑張ってるように見えてしまう。

ひょっとして、おばさんが17歳を演じるというボケをかましているのだろうか?と、面白がる気持ち半分、ちょっぴり居心地の悪いような気持ち半分で、幼馴染みという設定の2人の高校生のベタなやりとりを眺めていました。

エリコさん、高校生の頃に、こんな恋をしてみたかったのかな?

だから、テーマは「ずっと心に残るような恋」なのだろうか??

そんなヌルい憶測をしつつ「好きな人いるの?」「あんたバカぁ?!」というありがちな会話を聞いていたところ、突然、頭をぶん殴られるような展開が!! 

タケシ「俺…死んじゃったから。」

今まで見せられていたのは、今の江里子が見ていた幻、もしくは、彼女の頭の中の世界だったのです。

この仕掛けが明らかになるとともに、17歳の少女として幻の中でタケシと会話を交わしていた江里子が、48歳の江里子に戻っていく。見ている私も、一緒に幻の世界から現実世界に引き戻され、頭の中を激しく揺さぶられるような、強烈な感覚を味わいました。この感覚を味わえたのは初見の時だけです。

凄まじかった!!!*2

2回目の感動

仕掛けが分かった上で見る2回目の視聴。

今の江里子が見ている幻もしくは頭の中の世界という設定を踏まえて見ると、初見では、正直、困惑気味に見ていたエリコさんの演技がスッと入ってきました。

江里子とタケシの思い出映像で、若い女優さんが演じる17歳の江里子の姿を見ていましたから、2回目の視聴では、あの少女の姿が、エリコさんの巧みな演技に重なって見えたのです。違和感が消えました。

そして、この若い二人を待ち構えている未来を思うと、幼馴染の二人の可愛らしい小競り合い、そして「好きな人いるの?」というやりとりが、あまりに切なくて、自然と涙が出てきました。

エリコさん、なんて瑞々しい純愛物語を書くのだろう!まるでセカチューじゃないか!!

そして、最後の「おばあちゃんのお下がりの浴衣」のくだりで、ここまで、江里子と一緒に行き来してきた30年の時の流れがピタリと止まります。「ずっと心に残るような恋」に別れを告げ、今の江里子の幸せな現実にキレイに着地する感じ。

「似合う歳になったかー!」

「あちゃー」というポーズで、この台詞を口にした江里子。ちょっとおどけているようでもあり、泣いているようでもあり、何とも言えない良い表情です。絞り出すように語られた「似合う歳になったかー!」は、まるで、過去から自分の気持ちを引きはがすようでもありました。そして、今の江里子を全力で愛しているというのがわかる無邪気で元気な若い恋人と一緒に、思い出の場所を立ち去る江里子が、振り返って、小さく空に向かって手を振りつぶやいた「バイバイ」。君に幸あれ…と、また、涙が出ました。

このあたりは、これまでの落とし方発表会で私が魅了されてきた、江里子先生が得意としている「全てを語らない表現」かなと感じました。短い台詞の余白に浮かびあがる、江里子のこれまでの人生や人柄、今の恋人との関係。様々な物語が見るものの心の中で幾重にも広がっていく。これぞ江里子先生!と感動しました。

ぜひ映像作品化を!

第8回私の落とし方発表会「あの日の夏祭り」は、間違いなく、江里子先生の最高傑作です。歌が含まれる作品なので、権利関係でDVD化されないのではないかと心配していますが、なんとか、販売されますよう、心から祈っております。

一年間、待ちに待って待った、江里子先生の新作。

想像していた何倍も何倍も素晴らしい作品を見せていただけて、心底、満たされました。

エリコさん、最高の最高の最高だったよ!!!(語彙力)

*1:女性芸能人が「私はこうされたら落ちる」という脚本を自分で書いて、それを自ら演じて紹介するというもの。エリコさんはこの企画の常連で、あまりにハイクオリティなシナリオを仕上げてくることから、MCのおぎやはぎさんや劇団ひとりさんに「江里子先生」と呼ばれています。

*2:私の高校の先輩でシティボーイズファンの方がいて、ここ一年ほどよくASH&Dの話題について、メッセンジャーなどでやりとりをしているのですが、花火の下で死者と生者が対話をする世界観が大林宣彦監督のようだと仰っていました。